小嶋 基次先生の「おもしろ健康学」NO32 2018/01/05

子供の心と体ー4

両親が縫製作業のミシン掛けに忙しく、それも電動ミシンの音が
両側から聞こえる間に寝かされた男児が両親との会話のないまま
青年期を迎えたのです。

ところが十六歳を迎えたその年までほとんど発語がなくて挨拶すら
できなかったのです。

小学校、中学校時代をとおして言葉なくして過ごし知恵遅れと
みなされていました。

言葉がなく発音、会話もありませんから、当然友人もありませんし
知能も生活経験の乏しさと情報の未収集から低いはずです。

両親と全く会話がなく情緒と知能の得られる大切な乳幼児期及び
少年期を過ごしたのですから、ある意味では人間の発育ではないのです。

以前に狼少年がジャングルで発見されたのですが、その少年
は狼に乳児から育てられたため当然言葉がなく人間の情緒も得られぬまま
人間社会に戻されたのです。

その後、人間社会で大勢の人達が人間としての生活をさせようと
懸命に努力したのですが、結局無理で再び失意のもとジャングルに
戻って行ったのです。

これとよく似た話や例が現代の社会にもあるということは
大変恐ろしい話ですね。知恵遅れということで中学校を卒業した先ほどの
青年はその後、養護学校に入学したのです.

があいかわらず一日中無口で過ごしていました。
三カ月経過した頃「アー」とか「ウー」とかの発音ができるように
なったのですが、これは周囲が知能になんらかの障害を持って自分と
同じような雰囲気で安心したのでしょうか。やがて職員の呼びかけにも
反応を示すようになって、名前を呼ばれると最小限の返事をするように
なりました。

もちろん自分からは話しかけたりグループに入ることは全くありません。
しかし授業にも実習にも積極的な意欲が見られるようになって目にも輝きが
見られ、自信がでてきたように見えます。

この青年は両親の電動ミシンの間にはさまれた篭の中に寝かされて
いたのですが、一日中騒音の中で会話がなく過ごしていたために
言葉を覚える間もなく発音することすらなく全く人間性を失っていたのです。


     続く

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